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■今回のアルバム「ラヴロック」は過去の「国歌斉唱」
や「国会中継」、そしてEP三部作の全ての要素を孕ん
でいると感じたのですが。
Tony(以下T):そう感じますよね、でも狙ったと
いうわけではないんですが。
■それにしてもラブ王国って刻々とそのスタイルが変化
していきますよね。
T:変化というか、「国会中継」も三部作も今回もスタ
イルを変えなければ続けられんかったというべきかも。
いろいろな要因がありまして。今はようやくそれが落ち
着いてきたという感じです。
■今回プロデュースが再びバンド名義ではなく、トニ−
さんだと伺ったのですが、まだトニ−さんがメンバーで
はなかった「国歌斉唱」以来のことですよね?この辺り
は何か考えがあったのでしょうか?
T:僕は基本的にプロデュースというものを「全ての制
作ステップの責任を負う人間」だと考えています。今回
のアルバムでは音楽以外の雑務などをメンバーに押し付
けたくなかった。ヴォーカルのマリリンには音楽のこと
だけ考えていて欲しかったわけです。それでもともとプ
ロデューサーやった僕が負うのが適任かなと。
■EP三部作からほとんど間をあけずにフルアルバムの
リリースとなったわけですが、作業はいつから取り掛か
っていたのでしょうか?
T:去年の10月です。と言っても曲作りやほとんどの
レコーディング作業は2週間くらいで終わってしまいま
した。実はそれよりも少し前に僕が体を壊してアルコー
ルを完全に断ったんですね。もともと「音楽やってる時
よりも酒飲んでる時の方が楽しそうに見えるなんてダメ
だ」って思っていたんですが、いざ自分がやめてみると
はじめは不安でした。「アルコールは抜けた、さて完全
シラフのオレが曲を作れるか?そもそも外に何かを発信
する能力をもってるのか?」ってな感じで。でも不安を
余所にどんどん曲がかけた。僕もマリリンも精神状態は
相変わらず安定してるとは言えなかったけど「毎日1曲
作ったら1ケ月で30曲作れる計算だよね!」とかいっ
て取り掛かったのが今回の「ラヴロック」です。アルコ
ールが自分の人生に与えてきた障壁と同じくして、音楽
活動でもそれは邪魔になることの方が多いって本当の意
味で気付いたんでしょうね。人生も音楽もシラフの方が
上手く回ると思います。
■サウンドが人間味を大切にレコーディングされている
のもそういったバックグラウンドの上での成果なんでし
ょうか?
T:僕は音をいじくりだすと気に入るまで、というか際
限なくいじくり続ける性質なので、今回は歌詞と曲、そ
れと歌、というものに重きを置きました。曲に必要なも
のだけをアレンジして、飾る音は極端に排除しました。
普通なら絶対必要と考えるオブリとかもなくした。場合
によっては「薄い」と感じてしまうところもあるくらい
です。でもおかげで純粋にメロディーと歌が生きたなと
満足しています。演奏も歌も物凄く未完成やけど。
■確かにシンプルなアレンジですね、でも随所にユニー
クなアレンジが施されていてとても楽しんで聴くことが
できました。演奏に関しても過度の修正や編集は行わな
かったんでしょうか?
T:全く無修正とは言えませんが、ドラムとリズムギタ
ーは一発録りしたものをほとんど使いました。ヴォーカ
ルやベースは後から足した分、編集も行いましたが、世
の中的にはしてないに等しいと思います。僕のシンセな
どはもう「これ以上ない!」というくらいパンチインさ
れてますけど(笑)。ラブ王国の集大成というと大袈裟
ですけど、とりあえずこのアルバムで一区切りつけたい
みたいな思いがメンバー全員あったので、バカみたいに
修正して完璧に仕上げても現時点の記録にも思い出にも
ならんというのはありましたから。
■本当にメロディーを重視したアコースティックな曲も
多いですよね。
T:それはただアコギが好きやから(笑)。でも「にせ
もの」(ラヴロック#11収録)みたいなタイプの曲は
今までのラブ王国にはない曲やし、マリリンが他人の歌
詞をどこまで歌いこなせるか?という挑戦としてもいい
結果が出たと思います。
■今回はじめてトニ−さん作詞作曲の楽曲や、マリリン
さんとの共作が収録されていますよね。
T:共作はお互いにいいキャリアになりました。三部作
を経て、マリリンの音楽の幅もすごく広くなってきたし
今なら一緒にやっても曲が散らないんじゃないか?と思
ってはじめたんですが、逆に自分も知らない「自分の中
にあるメロディー」というのも発見できた。やっぱり音
楽って化学反応だ!と改めて痛感しました。
■ミックスは今回もトニ−さんが担当ですか?
T:本当は外部のプロのエンジニアさんにお願いしたん
ですが、思っているよりもすごくまとまりがよくて、プ
ロっぽい感じになってしまって。本当に申し訳なかった
んですが、メンバーとの協議の上、僕がそのスタジオ入
る前に制作していた仮ミックスがそのまま使用されてい
る感じです。ミックスだけやなく、今回はあらゆる場面
でこういった「アマチュアバンドっぽさ」みたいなもの
が重要視されてますね。 (→右上へ続く)
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■「アマチュアっぽさ」というと、他にはどんなことを
重視したんですか?
T:例えば、それぞれ竿(ギターやベース)は1種類み
たいなところ。バンドはじめたばかりで1本しかもって
ませんみたいな(笑)。厳密にはサウンドの関係でベー
スは1曲だけ違うものを使用したのですが、エレキギタ
ーは全曲通して、Fenderのストラト1本。アコギ
も僕もマリリンもそれぞれ1本です。
■シンセも1種類を?
T:いやシンセは「近所に住む何歳か年上の先輩」が弾
いてくれたという想定で(笑)プロフィット5とプロフ
ィット600、あとALESISのマイクロンっていう
可愛いシンセの3台です。鍵盤はあとハモンド・オルガ
ンと生ピアノが入ってます。
■レコーディングはほとんどトニ−さんのプライベート
スタジオで行われたそうですが。
T:ドラムとリズムギターだけは、今回のドラムや弦な
どのサポートをしてくれたM+G+Oというグループの
スタジオを借りました。それ以外は僕のスタジオです。
■録音機材はどんなものを使用したのですか?
T:レコーダーは今まで通り、デジデザインのプロツー
ルス24MIXです。これしかないので。でもミックス
直前に壊れてしまいました。あとはもう、とにかくいろ
いろたくさんです。
■エフェクターなどはどんな機材を使用したのですか?
前作同様に大好きなヴィンテ−ジの機材を駆使?
T:いろいろですが、例えばヴァ−カルのプリアンプは
NEVE1073、あとよく使ってたのはUREIの1
176や1178とかですね。ヴィンテ−ジ機材に関し
ては機材が好きというよりも、それから生まれてくるミ
ッド感がたまらないといった感じですね。他のメンバー
はどう思ってるか知らないけど。でも基本的に機材にし
てもアナログだのデジタルだのという部分にしてもあま
り音楽と関係ないというか、そういうのに振り回される
ような音楽はしたくないですね。ただプライベートスタ
ジオで録音する以上はリスナーへの最低限の責任として
できるだけマシな機材をと考えてるだけです。
■トニ−さんのプライベートスタジオでは機材だけでは
なく電源や電源ケーブルなどにもこだわっていると伺っ
たのですが、どんなものを使っているのですか?
T:こだわってるというよりは、使ってみたらよかった
のでそうしてるみたいな感じですね。電源は200Vで
ケーブルはアレグロというとこのです。いい意味で普通
の音です。でもこういう何の色付けもない音のケーブル
ってありそうでないんですよね。全然よくならない電源
ケーブルはいっぱいありましたけど(笑)。
■ところでアルバム全体を通
して前半がポップ、後半が
ロック的なアプローチを感じたのですが、はじめから狙
いがあったんでしょうか?「ラヴ=ポップ」、「ロック
=ロック」のような。
T:特に気にはしてなかったですが、確かに後半の運び
方というのは物凄く考えました。メインディッシュに向
かって美味しい料理をどういう順番で出して行こうか?
みたいな。
■「しりとり」から「電車でGoo!!!!」(ラヴロ
ック#3、4収録)への蝉の声のSEでのつながり感も
すごく風情があっていいなと感じました。
T:あれ実は偶然なんですよ。曲間を決めていた時に偶
然あぁなってマリリンと二人で「これだ!」と(笑)。
■全体的に懐かしいというか、良き時代の邦楽を感じま
した。洋楽感を出すのではなく、洋楽を完全に消化して
自分のものにしてしまっている。「ジマイマ」(ラヴロ
ック#5収録)のBメロなどはすごくフィルスペクタ−
の匂いを感じるのに何故か洋楽感がしない。一見見落と
してしまいそうな場所ですが、確信犯だなと思います。
T:ありがとうございます。「邦楽」というのはラブ王
国のバンドのテーマなんですよね。今の時代ってまんま
洋楽はできないけど、洋楽っぽいバンドってやろうと思
えばいくらでもやれるでしょ?そんな時代だから敢えて
邦楽にしたい。日本独自の流れをもったバンドにしたい
んですよ。
■出来上がった作品の満足度はいかがでしょうか?
T:とりあえず僕自身の作業の大半が去年の10月に終
わっていたせいもあってか、作り上げたという達成感よ
りも、この次への期待が膨らむ1枚になりましたね。今
後の活動へのいい足掛かりができたなと思います。でも
実は現在、「ラヴロック」のセッションとほぼ同じ制作
方法で、ラブ王国以外のアーティストへの楽曲提供を目
論んでいます。まだまだ作り足らないというか、そんな
感じが残っていて、それを埋めている感じですね。バン
ドとしてはまだ進路が定まらない。次にやりたい音楽の
選択肢がものすごく多くって(笑)。
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